インドネシアの人が「おはようございます」と挨拶しない3つの理由

日本では欠かせない朝の挨拶「おはようございます」。
インドネシア語に訳せばSelamat pagi(セラマット・パギ)です。

このような挨拶はビジネスの世界ではかなり頻繁に使われています。しかし、家族、近所の人々、友人などとの間では、日常的に使われていません。

そのことにお気付きになっている方はインドネシアをより深く知っておられる方だと思います。インドネシアの人々は挨拶しないと憤慨しておられる方も中にはいらっしゃるかもしれません。

では、なぜ日常的に挨拶をいないのでしょうか? 以下の3つの理由が考えられます。

理由1.昔から挨拶する習慣がなかったから

インドネシアの人々は世界で最もフレンドリーではないかと思われるほど、笑顔を絶やしません。

フレンドリーなのになぜ挨拶をしないのか、という疑問をお持ちになる方もいらっしゃるかもしれません。

それは、笑顔が挨拶だからなのです。「笑顔」と「挨拶の発声」のどちらが重要かと問われれば、こちらの人は「笑顔」と答えるでしょう。

もちろん、中には「笑顔」も「挨拶の発声」もどちらも表に出さない人はいるかもしれません。

ただ、それは挨拶の習慣がないからなので、ごくごく普通のことなのです。

理由2.いきなり話しかけるのが習慣だから

つまり、日常が「前略」の世界なのです。時候の挨拶などという概念はもちろん、ありません。

では、何か話しかけたいことがある場合はどうするかと言いますと、相手を気に掛ける言葉やどうでもよい当たり障りのないことをいきなり話しかけます。

例えば、しばらく会っていなくて、少し距離のある人には、お元気ですかと相手を気遣う言葉をかけたりもします。ただ、インドネシアでは目上の人にはあまり気軽に話しかけないのが良いとされますので、お元気ですかなどと気軽に話しかけるのは失礼になることもあります。

どこへ行くところ? どこから来たところ? ずっと前から来ているの? などという切り口で会話が始まることも多いです。

理由3.目上の人には気軽に話しかけてはいけないから

インドネシアでは礼節が非常に重んじられています。特に目上の人には丁寧に接しなければならないため、気軽に名前を直接呼ぶことも許されません。

個人の名前というものは、親しい身内や同レベル以上の人だけが呼ぶことを許されるといった具合です。

会社の中でも、従業員が社長に挨拶しないということがありますが、それはその従業員がインドネシア式の礼節を守っているからと考えるべきです。

こういった場合は、常に社長の側から従業員に話しかけてあげるのが礼儀というものなのです。

日本でも朝のエレベーターでばったり社長と2人っきりになって、「おはようございます」しか言わないで後は気まずい沈黙だったというご経験はないでしょうか。それと似ていますね。

まとめ

理由1.昔から挨拶する習慣がなかったから
理由2.いきなり話しかけるのが習慣だから
理由3.目上の人には気軽に話しかけてはいけないから

これらが私が見出した「挨拶をしない」理由です。
文化背景を探ると意外な事実が見えてきますね。

上述の3つの理由の他にも、何か理由に気付かれた方はぜひお知らせください。

実はインドネシア国民の9割近くが信奉していると言われるイスラームの特有の「アッサラームアライクム」という挨拶もあります。同宗教の人々の間ではよく使われています。