インドネシア人がターゲット? ハラールツアーに取り組む台湾の意気込み

日本の観光業界でも、ムスリム観光客を迎え入れようと、ハラール対応などの取り組みが進んでいるようです。

ムスリム人口2億人を超えるとも言われるインドネシアの観光客が、日本でも増えているようですが、ムスリム観光客の誘致を願っているのは日本だけではありません。

2018年10月22日のCNN Indonesiaのニュース(https://www.cnnindonesia.com/gaya-hidup/20181020134741-269-340023/wisata-halal-tekad-taiwan-raih-banyak-turis)では、ハラールツアーでムスリム観光客を誘致しようとしている台湾のことが話題になっていました。

日本の観光業に関わっておられる方だったら、台湾ではどのような取り組みをしているのか、気になりますよね。

以下、ニュースを紐解きながらご紹介していきますね。

1.ハラール農園を準備する台湾

インドネシア人ムスリムは農園よりも街を好むような気がします。

インドネシア人ムスリムは農園よりも街を好むような気がします。

ジャカルタにある台北経済貿易事務所(TETO)所長のジョン・チェン氏によると、台湾ではハラール認証を取得したホテルとレストランが既に200に達しているとのことです。

幾つかの観光地や公共施設には、モスク、または礼拝所を完備し、台湾におけるハラールツアーのレベルを向上させているのだそうです。

ジャカルタのスカルノハッタ空港から台湾の首都、台北へは、中華航空などが比較的安い運賃でフライトを運航しています。

直行便では5~6時間で台北まで行けるので、ジャカルタに住む人が週末などの休みの日に気軽に行けてしまう距離かもしれません。

ただ、台湾の観光地として有名なのは古い寺院だったりするので、ムスリムが好んでそういった場所へ行くかというと疑問です。

インドネシア人観光客は、台北のランドマークとして有名な台北101など、高層からの展望やショッピングが楽しめる場所のほうが好きだとは思います。

また、1998年に非営利団体として設立された台湾休間農業発展協会(TLFDA)が、農業観光や農山村での観光を手掛けているということです。

同協会マーケティング秘書のンガン・コック氏によると、現在、300の農園が観光用に管理され、一部の農園にはレストランと宿泊所も完備しているそうです。

既に10か所の農園がハラール認証を取得しているというのですから、驚きですね。

ハラール認証を得た農園は、Fairy Story Ecologial Farm、Toucheng Leisure Farm、Shangrila Leisure Farm、Flower Home Leisure Farmなどだそうです。

私の印象では、インドネシアの人たちはどちらかというと海外へ行く時は、その国の「発展した姿」、または「自国の未来の姿」を垣間見ることに期待しているような気がします。

農業観光がインドネシアのムスリムに受けるかというと微妙かなと思います。

ハラール農園には、ムスリム経営のもの、非ムスリム経営のものがあります。中国回教協会によるムスリムフレンドリーレストランとムスリムフレンドリーツーリズムの認証を取得しています。

2.日本に長期滞在するインドネシア国籍者もビザ緩和で台湾へ

台湾の豆花。インドネシアにはkembang tahu(豆腐の花)がありルーツは同じなのでしょう。

台湾の豆花。インドネシアにはkembang tahu(豆腐の花)がありルーツは同じなのでしょう。

台北経済貿易事務所(TETO)所長のジョン・チェン氏も認める通り、インドネシアは世界で最大のムスリム人口を抱える国です。

台湾にとっても、最大のムスリム市場はインドネシアなのです。

インドネシア国籍者は台湾の観光ビザ取得に関しては緩和されているとのことです。

アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、イギリス、ヨーロッパの10年間有効の滞在許可を取得しているインドネシア国籍者は、台湾内務省入国管理省へ無料でオンラインビザ申請ができるといいます。

ということは、日本に長期滞在しているインドネシア国籍者も、休みの時は、日本国内を旅行しないで、台湾へ旅行に行くというパターンも大いに考えられますね。

上述のチェン氏によると、2017年にはインドネシア出身の観光者は18万9千人にのぼり、前年に比較し46%の伸びだったというので、驚きです。

2018年には更なる増加が見込まれ、25万人をターゲットにしています。

海外旅行の行き先を模索中の、インドネシアで成長している中流層に対し、台湾は強気で自国の観光をアピールしているように見えます。

さいごに

親戚で小学校の校医だった、今は亡きかかりつけの赤ひげ先生が、日本時代の台湾大学医学部卒なんだよと聞いて、私は育ちました。

かつて日本の一部だったというそんな台湾が、今では、こんなにもムスリム向けの観光を推し進めていることに驚きました。

25年ぐらい前に台湾旅行をしたことがありますが、ムスリムのムの時も連想させない街と農村部を見てきました。

ビジネス目的だと、こんなにも業界は変わるものなのだなあと驚きますが、世界中でムスリム向け商戦が鎬を削っていくであろうことは何となく想像します。

今後はハラールなどに無頓着なムスリムが、ハラールなどに詳しい非ムスリムに感化される時代が来るかもしれませんね。

 

 

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