【インドネシア】特定業種にしか貸さないシャリーア銀行って何?

インドネシアで私たちが口座を開設する時の対象として、従来式銀行シャリーア銀行があります。

従来式銀行はその名の通り、昔からある方式の銀行のことです。

日本にある銀行も従来式銀行と言うことができます。

シャリーア銀行とは、シャリーア(イスラーム法)に則った銀行です。

見た目は普通の銀行と変わらないし、ムスリムでなくても口座を持つことができるシャリーア銀行とは一体何なのでしょうか。

シャリーア銀行ってどれぐらいあるの?

インドネシア銀行のサイトで確認できるシャリーア銀行は11行あります。(出典:https://www.bi.go.id/id/publikasi/laporan-keuangan/bank/umum-syariah/Default.aspx)

インドネシア銀行のサイトで確認できるシャリーア銀行は11行あります。(出典:https://www.bi.go.id/id/publikasi/laporan-keuangan/bank/umum-syariah/Default.aspx)

インドネシア銀行のサイトで確認できる、シャリーア一般銀行(Bank Umum Syariah)は11行あります。

一方、従来式銀行などのシャリーア支店(Unit Usaha Syarih)は30行あります。

従来式銀行は(筆者が数え間違えてなければ)145行なので、シャリーア支店を除けば、シャリーア銀行は銀行全体のわずか7%しかありません。

銀行の数がインドネシアでは約150もあるのも驚きですね!

従来銀行との違い

2010年7月のインドネシア共和国宗教省調査研究局ダイアログジャーナル第69号における、ジャカルタのシャリフ・ヒダヤトゥッラー国立イスラーム大学イスラーム法学部M・ヌル・リアント・アル・アリフ氏の論文によると、シャリーア銀行と従来式銀行の違いは次のようになります。

シャリーア銀行と従来式銀行の組織的な違い

組織としての比較表です。(出典:https://www.academia.edu/2562532/TINGKAT_SUKU_BUNGA_BANK_KONVENSIONAL_DAN_PENGARUHNYA_TERHADAP_PENETAPAN_PERSENTASE_BAGI_HASIL_DI_BANK_SYARIAH)

組織としての比較表です。(出典:https://www.academia.edu/2562532/TINGKAT_SUKU_BUNGA_BANK_KONVENSIONAL_DAN_PENGARUHNYA_TERHADAP_PENETAPAN_PERSENTASE_BAGI_HASIL_DI_BANK_SYARIAH)

シャリーア銀行 従来式銀行
ハラールな事業に投資 事業種を選ばない
分配金システム 利子システム
事業収益によって分配金の額は異なる 固定利子
利益とファラー志向 利益志向
シャリーア協議会がある 協議会はない
  • ハラールな事業:神に許された事業
  • ファラー志向:現世と来世での成功を志向

上の比較表を見て分かるように、シャリーア銀行では神に許された事業にしか投資をしません。

飲食に関して言えば、ハラールな飲食物を扱う事業がこれに値するわけですね。

筆者があるシャリーア銀行の人に聞いたところによると、ホテル業は鑑定が難しいので一切、融資を行っていないとのことでした。

なかなか厳しいですね。

とにかく利益が優先される従来式銀行と違い、現世と来世での成功をターゲットにするシャリーア銀行では、分配金の額を約束することもありません。

分配金システムと利子システムの違い

分配金システムと利子システムの違い(出典:https://www.academia.edu/2562532/TINGKAT_SUKU_BUNGA_BANK_KONVENSIONAL_DAN_PENGARUHNYA_TERHADAP_PENETAPAN_PERSENTASE_BAGI_HASIL_DI_BANK_SYARIAH)

分配金システムと利子システムの違い(出典:https://www.academia.edu/2562532/TINGKAT_SUKU_BUNGA_BANK_KONVENSIONAL_DAN_PENGARUHNYA_TERHADAP_PENETAPAN_PERSENTASE_BAGI_HASIL_DI_BANK_SYARIAH)

シャリーア銀行 従来式銀行
損得リスクに同意し契約 常に銀行側が利益を得ることに同意し契約
 分配金の比率は利益の大きさによる 利率は融資金の大きさによる
 事業成果による  固定利子のため事業成果によらない
事業 案件による利益による  利用者の損得に関わらず事業案件を考慮することなく固定利子を支払う

シャリーア銀行の場合、事業案件を考慮して融資をしますが、融資を受けた側の事業が失敗し、損益を被った場合、銀行も一緒に損をするという方式になっているんですね。

事業に融資をする銀行も、リスクを請け負ってくれるのです。

その替わり、融資を受けた事業の利益が大きければ、銀行側も儲かるという仕組みです。

一方、従来式銀行は、融資を受けた側が損益を全て引き受ける形の契約をするのですね。

しかも、沢山融資を受ければ受けるほど、利子は大きくなり、返済が苦しくなります。

以上が、筆者の理解している、シャリーア銀行と従来式銀行の違いです。

おわりに

イスラームでは利子は禁止されているので、それでも何とかして銀行を作ろうということで、世界各地に出現したのがシャリーア銀行だということです。

利子が利子を呼ぶ複利の仕組みが、現在の資本主義社会です。

利子ができた時の話を知るには「NHK 欲望の経済史 ルールが変わる時  1/6 時が富を生む魔術~利子の誕生」の動画をご覧になるのがお勧めです。

キリスト教の聖書には「貸した金に見返りを求めるな」とあるのに、何とか正当化してきた歴史が研究者によって分かっているのだそうです。

とても面白かったので何度も視聴していたのですが、同様の動画がYOUTUBEからは消されてしまいました。

資本主義社会の根本をとらえすぎた傑作なので、見れなくなってしまうのかもしれません。

聖書とルーツは同じイスラームの教えを、まじめに体現するシャリーア銀行がこれからも健全でいられるといいと思います。

 

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